物理学

物理学の素人

ダークエネルギーの正体を解明しました

 前回の続きです。前回の記事を読んでいない方は先にそちらからどうぞ。

doxaisha.hatenablog.com


 ダークエネルギーとは宇宙を加速膨張させる原因となっている未知のエネルギーです。
 これから真空の斥力とヒッグス場の真空期待値ダークエネルギーが同一のものだということを証明します。
 例によって私は一般相対性理論なんてちんぷんかんぷんなので、ニュートン力学での証明になります。ご容赦ください。

 その前に、一応ヒッグス場とは何か簡単に説明しますと、真空に満ちている場のことです。真空とは何もない空間ではなく、ヒッグス場の満ちた空間だったのです。わかりにくければ、空気に酸素が詰まっているように、真空にヒッグス場が詰まっているイメージを想像してください。このヒッグス場が物質に質量を与えるとされてきました。もっと詳しい説明は各自ググるか新書などをどうぞ。

 ヒッグス場の真空期待値246GeVです。これはジュールに直すと394×10^{-10}Jであり、E=mc ^2からキログラムに直すと438×10^{-27}kgとなります。

 前回、地球と月の力の釣り合いから万有斥力を求めました。それと同じようにして、ヒッグス場とヒッグス場の力の釣り合いから両者の距離を求めたいと思います。
 かなり簡略化して、静止した状態におけるヒッグス場とヒッグス場の間にはこの図のような状態が成り立っています。

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 次のAとBは等式で結ばれます。

 A:ヒッグス場とヒッグス場の間の万有引力
 B:ヒッグス場とヒッグス場の間の万有斥力 \displaystyle{ − 2 × \frac {エネルギー}{距離}}

 \displaystyle{ \frac {エネルギー}{距離}}は力の次元です。この力がヒッグス場の上下二方向からかかっています。宇宙は膨張しているため、上下の力より中央の力の方が大きくなります。よって符号は上記のようになります。静止状態を考えるため、ヒッグス場の距離は全て等しくなります。

 AとBを等式にするとこのようになります。

 \displaystyle{ G  \frac {m ^2}{r ^2} = R \frac{ r ^2}{ m ^2} -  \frac {2E}r}



 ここに実際の値を当てはめていきます。
 万有引力定数 は  G = 6.67408 ×10 ^{-11}
 万有斥力定数は  R = 9.10821×10^ {55}
 ヒッグス場の質量は m = 438×10^{-27}[kg]
 ヒッグス場同士の距離は r
 ヒッグス場のエネルギーは E = 394×10^{-10}[J]

 これを展開すると以下の四次方程式が導き出されます。

\displaystyle{4.47× 10 ^{104} r ^4 - 832.464 × 10 ^{-10} r - 1.280382 × 10 ^{-59} = 0}

 

これを適当に計算サイトで計算すると r の値が求められます。

\displaystyle{r = 5.6 × 10 ^{-38}}

 

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 プランク長さよりも小さい値が出ましたね(まあ私はプランク長さが何なのかよくわかってないんですけれども)。
 これが静止状態でのヒッグス場の距離となります。すなわち加速膨張していない定常宇宙の状態。

 ここがポイントです。この式は現在の宇宙の正しい姿を映していません。どこが違うのかというと、真空に加速度がかかっていないことです。実際は真空には加速度がかかっています。この真空の加速度によって宇宙は加速膨張しているのです。

 では真空の加速度を求めましょう。これはハッブルの法則(今はハッブル=ルメートルの法則と呼ぶらしいですね)によって求められます。
 ハッブルの法則は以下のように表されます。これが宇宙の加速膨張の速さです。

\displaystyle{v = H_0D}

 

  H_0 ハッブル定数と呼ばれます。この値は観測方法によっていくらか差があるのですが、ここでは 73000m/s/Mpc とします。
  D は物体間の距離です。ここで重要なのは、 D の単位は光年なので、メートルに直す必要があります。 D = 10 ^{16} r \ [m] 

 では加速度を求めるために、加速度運動の公式を思い出してみましょう。
 

\displaystyle{v ^2 - {v_0} ^2 = 2ar}


  a は加速度を表し、 r は距離を表しています。
 初速がゼロ、すなわち v_0 = 0 と考えると式は次のようになります。

\displaystyle{v ^2 = 2ar}

 

 これに先ほどのハッブルの法則の値を代入していくとこうなります。

\displaystyle{
v ^2 = 2ar 
}


\displaystyle{
(73000 × 10^ {16} × r) ^2 = 2ar 
}


\displaystyle{
a = 2.665 × 10 ^{44} r 
}



 これで加速度と距離の関係が示されました。
 ではこれから加速度のかかった宇宙を考えていきましょう。
 加速度のかかった状態は次の図のように表せます。

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 このとき仕事の公式 W = Fs より仕事とエネルギーを同一と見なせば以下の等式が成り立ちます。

mar = E



 ヒッグス場が動くとややこしくなるので、静止した状態を考えます。
 このとき加速度分の力がヒッグス場にかかります。しかしヒッグス場は動かないため、代わりにヒッグス場の質量が増えます。その増えた後の質量を見かけの質量とします。

 見かけのヒッグス場の質量を m_s
 ヒッグス場の加速度を a = 2.665 × 10 ^{44} × r
 ヒッグス場の距離を r = 5.6 × 10 ^{-38}
 ヒッグス場のエネルギーを E = 394×10^{-10}

 として、先ほどの式 mar = E から、このときの見かけの質量を計算すると、

m_s = 4.715 × 10^ {22}



 という値が求められます。これがヒッグス場が動かないときの見かけのヒッグス場の質量です。加速度を受けた分だけ質量が増えています。(実際はヒッグス場は動きますが、このような動かないモデルで考えると簡単です)

 ではこの見かけの質量を使って万有斥力を計算しましょう。その値が現在の加速膨張する宇宙における実際のヒッグス場の斥力となります。

 万有斥力定数を  R = 9.10821×10^ {55}
 見かけの質量を m_s = 4.715 × 10^ {22}
 ヒッグス場の距離を r = 5.6 × 10 ^{-38}

 として計算します。すると次のような計算結果になります。

F = \displaystyle{R \frac {r^ 2} {m ^2}= 12.86 × 10 ^{-63}}



 これが現在の宇宙におけるヒッグス場の実際の斥力です。
 ではこの斥力を質量に換算してみましょう。運動方程式  F = ma より、斥力を加速度で割れば質量が導き出せます。加速度は前述したものと同じ、 a = 2.665 × 10 ^{44} × 5.6 × 10 ^{-38} です。
 答えは以下の通り。


m_R = 8.6 × 10 ^{-70}



 これがヒッグス場の斥力を質量に換算したものです。
 さて、これを距離の三乗で割ればエネルギー密度が示せるのですが、ここで注意です。
 今まで使ってきたヒッグス場の距離 r = 5.6 × 10 ^{-38} は静止状態での距離です。
 実際はヒッグス場には加速度がかかっているため、ヒッグス場とヒッグス場は離れるように動き、両者の距離は増えます。その増えた後の距離で計算する必要があります。
 簡単な図は以下の通り。

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 mar = E より、距離が変わらなければ質量が増えるというのを先ほどやりました。同じように考えて、質量が変わらなければ距離が増えるようになります。これが実際の宇宙で起きていることです。
 では増えた距離を求めてみましょう。

 実際のヒッグス場の質量を m = 438×10^{-27}
 ヒッグス場の加速度を a = 2.665 × 10 ^{44} × r_t
 増えた後のヒッグス場の距離を r_t
 ヒッグス場のエネルギーを E = 394×10^{-10}

 計算しましょう。

mar_t = E

 

r_t = 5.8 × 10 ^{-15}



 これが実際の宇宙でのヒッグス場の距離となります。
 これで質量と距離がわかりましたので、質量を距離の三乗で割ればエネルギー密度が割り出せます。
 計算は以下の通り。


m_R = 8.6 × 10 ^{-70} 



r_t = 5.8 × 10 ^{-15} 


\displaystyle{
\frac {m}{r ^3} = 4.4 × 10 ^{-27} [kg/m ^3]= 4.4 × 10 ^{-30} [g/cm ^3]
}



 私の読んだ本によりますと、観測されているダークエネルギーの密度は1立方センチメートルあたり10 ^{-29}グラムと書かれていましたので、ほぼ一致したことになります。

 よって証明が終わりました。

 真空の斥力 = ヒッグス場の真空期待値 = ダークエネルギー